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 暗記力ではなく、「地理力」を競うオリンピック

  「地理のオリンピック」というと、地名をどれだけ知っているか、世界の諸事情にどのくらい通じているかを競うものと誤解されがちですが、地理オリンピックはそうではありません。実際に過去問を見てもらうとわかりますが、私達が問うているのは「場所を見抜く力」とそれを「的確に表現する力」です。

 試験は3種目で行われます。「記述」は、私達が求める地理の総合力を問う試験です。地形図や資料、景観写真を見て、与えられた問いに答えるものです。基礎的な知識は必要ですが、地図や景観写真、資料等の読解力・分析力が問われます。「こう書けば100点満点」という答えはなく、問題から読み取れる事柄に基づいて、どんな答えを導き出しているのかを採点します。つまり、論理的な構成力が求められているのです。
「マルチメディア」は、国際的な共通言語ともいうべき写真や地図、グラフなどを使って、その読み取りに重点を置いた4択の問題です。問題はスライドを使って出題されます。基礎的な知識と写真や地図等の読解力が問われます。第三の試験科目は「フィールドワーク」です。競技者は、まずあらかじめ定められたコースを歩きます。途中に設けられたチェックポイントでは、地形断面図や土地利用図の作成など「地理的スキル」を問う課題をこなします。その後、実際に観察したことがらやその他の地図や統計などの資料をもとに、「その地域がどのような特色を持っているのか、どのような課題を抱えているのか、その課題に対してどのような対応が考えられるか」といった地域を総合的に捉える出題がなされます。(京都大会では2日にわたって行われました)。まさに、自分自身の「地理力」が試される、地理オリンピックのハイライトともいえる種目です。

 国際大会の共通言語は英語です。他の科学オリンピックでは、引率者が一旦母国語に訳し、生徒の解答を再び英語に訳すことが認められていますが、地理オリンピックはすべて英語で出題、英語で解答が義務付けられます(辞書の持ち込みは可能です。また一部の専門用語については、引率者会議の合意に基づき、引率者による翻訳が認められます)。そのため、国内予選会でも、全体の2割が英語による出題で、代表選考にあたっては、語学力が加味されます。ただ、どれだけきれいな文章を書くかよりも、論理的にまとまりがあり、的確な用語を使って表現がなされているかに重点を置いて採点します。歴代の上位入賞国の多くは、非英語圏の国々が占めているのが特徴です。

 国際大会では、個人競技の他にチーム(国・地域)ごとの課題もあります。事前に提示されたテーマに基づくポスターの作成です。大会期間中ポスターセッションの時間が設けられ、作成されたポスターについて説明や討論が行われます。もちろん、これらもすべて英語で行われます。個人競技とは別に表彰されます。

 地理オリンピックの歴史

 地理オリンピックのルーツは、1965年、エストニアの大学生が企画した「環バルト海地理競技会」がルーツです。各国の地理学の学生が集まり、共同で問題を作成して地理教育の未来を語り合いました。
 1994年に行われたIGU(国際地理学連合)の総会(プラハ:チェコ共和国)で、ポーランドとオランダの委員が、「国際地理オリンピック」の実施を提案、承認されました。第1回大会は1996年にオランダで5つの国が参加して行われました。以後、原則2年に1回行われるIGU大会に合わせて世界大会が開催されてきました。1998年に第2回(リスボン:ポルトガル)、2000年第3回(ソウル:韓国)、2002年第4回(ダーバン:南アフリカ)、2004年第5回(グダニスク:ポーランド)、2006年第6回大会(ブリズベン:オーストラリア)、2008年第7回大会(カルタゴ:チュニジア)、2010年第8回大会(台北郊外:台湾)、2012年第9回大会(ケルン:ドイツ)です。2013年第10回大会からはIGU大会が毎年開催されることに伴い、地理オリンピック世界大会も毎年開催になりました。その節目となる第10回大会は、京都を舞台に世界の32の国・地域から120名をこえる生徒を集めて開催されました。
 なお、世界大会の間の年を使って、ヨーロッパとアジア・太平洋地域で「地域地理オリンピック」が開催されてきました。アジア・太平洋地域では、2007年に台湾の新竹サイエンスパークを舞台に第1回の大会を開催しました。参加国・地域は4つ(台湾・マレーシア・メキシコ・日本)でしたが、アジア・太平洋地域の地理教育を世界にPRする絶好の機会になりました。第2回大会は2009年日本(つくば)(参加国・地域:日本、台湾、オーストラリア、メキシコ)、第3回大会は2011年に、メキシコで開催されました(参加国・地域:日本、台湾、オーストラリア、メキシコ)。

 日本の地理オリンピックへの参加

 日本が「国際地理オリンピック」に初めて参加したのは2000年第3回です。しかし、これは組織的な参加ではありませんでした。その後日本の大会への参加はIGU国際地理オリンピックタスクフォースから強く要請されていましたが、様々な問題を解決する必要がありました。2006年、当時IGU副会長であった田邉裕先生のリーダーシップのもと、日本学術会議IGU分科会のメンバーによる国際地理オリンピック日本委員会が組織され、実務を担当する実行委員会がIGU地理教育コミッションのメンバーでもあった井田仁康先生を委員長としてつくられました。2007年台湾で開催された地域地理オリンピック参加に向けて試行錯誤の取組が開始され、選手の派遣にこぎつけました。引き続き、2008年の世界大会に向けて、全国に予選会場を設置して代表選考を行いました。第7回大会(チュニス・チュニジア)は実質的には初参加にもかかわらず、金メダル1つを獲得することができました。しかし、その後の第8回大会(台北・台湾)、第9回大会(ケルン・ドイツ)はいずれも銅メダル1つという結果にとどまりました。第10回大会(京都・日本)からは従来の反省から強化プログラムを見直し、銀メダル1、銅メダル1の複数のメダルを獲得しました。第11回大会(クラコフ・ポーランド)では銀メダル1つでしたが、第12回大会(トゥベリ・ロシア)では4名の代表がすべてメダルを獲得(銀3、銅1)しました。第13回大会(北京・中国)では銀メダル2、銅メダル1に加えて、ポスタープレゼンテーション優秀賞を得ました。第14回大会(ベオグラード・セルビア)では銀メダル1、銅メダル1でしたが、ポスタープレゼンテーションで最優秀賞を獲得しました。



 今後の地理オリンピックと代表選考

 第15回国際地理オリンピック(The 2018 iGeo)はカナダのケベックで開催されます。代表選考を兼ねた科学地理オリンピック日本選手権は2017年9月1日にエントリーが始まります。代表選考は、1次選抜(マルチメディア)、2次選抜(記述)に加え、3次選抜(フィールドワーク)を行います。1次選抜の上位約100名が2次選抜に進出します。そして1次、2次選抜の総合点で金銀銅のメダル受賞者を決定します。その後、成績優秀者の中から選抜されたものを対象に3次選抜を行います。選抜試験の成績等を総合的に判断し、4名の代表候補と若干の補欠を決定します。